ごまあらかると

 

小粒でもでっかい、ごまパワー。忘年会シーズンになると何かと体調を崩しがちですが、健康雑誌などで「体がさびる」という言葉が目立ちます。活性酸素による肝臓への影響を表現したもの。体をさびさせない抗酸化物質もクローズアップされていて、中でも古くから健康にいいとされているゴマ含まれている成分が注目されています。

細胞が酸化する
「体がさびる」とは細胞が酸化することを意味しているが、人間の体は約60兆個もの細胞からできていてあらゆる場所がさびる危険性がといえます。その犯人とされているのが活性酸素と呼ばれている。呼吸により体内に取り入れられた酸素はエネルギーを作り出すが、その過程で発生するのがこの活性酸素。電子が不安定な状態にあるところからほかの分子と結合しやすく、血液中で不飽和脂肪酸と結びつくと過酸化脂質を作り出す。これが、サラサラ流れなくてはいけない血液を油のようにドロドロにするため、血管を通りにくくして動脈硬化などの生活習慣病の引き金になる。活性酸素の健康への影響は最近になって分かってきたことも多く、がんや動脈硬化、高血圧をはじめ、シミ・シワなどの老化や疲労も活性酸素が原因であることが明らかにされている。
内臓の中で最も大きく(成人で1〜1.5キロ)、働くために燃料として酸素を必要とする肝臓は、活性酸素の被害を受けやすい。肝臓は食物エネルギーに変える発電所の役割、細胞や血液の成分を作る製造工場の働き、アルコール分解などの廃棄物処理湖上の機能など人間が活動する上で最重要の臓器なだけに活性酸素の影響は無視できない。そうしたところから、活性酸素がほかの物質と結びつくのを防げる働きのある抗酸化物質が脚光を浴びている訳です。

最強の抗酸化成分
現在,抗酸化作用が認められている物質はいくつかあるが、ゴマに含まれている微量成分であるセサミンが最も注目されている。理由は人体内での抗酸化作用が実験で証明されているのは、今のところビタミンEとセサミンだけだからであり、しかもセサミンはビタミンE以上の抗酸化作用を発揮することが明らかになっている。セサミンとはゴマに1%未満しか含まれない貴重な抗酸化成分だ。
活性酸素の肝臓への悪影響は人ごとではない。現代日本人の肝機能はかなり低下していて、人間ドッグの疾患別以上率推移をみても肝機能に異常を示す人がここ10年増えつづけている。
肥満、高コレステロール、高中性脂肪、腎・ぼうこう疾患、高血圧などを抑えてトップなのである。肝機能低下は中年男性にかぎらない。糖分の取りすぎ、無理なダイエットで体内に蓄積している脂肪が肝臓に集まりやすくなるなど若い女性に脂肪肝が増えている。脂肪肝に一歩手前の予備軍が半数以上いたという報告もあるそうだ。
肝機能を高めるには良質のたんぱく質、ビタミン類を多く食べるようにするなど食事に気をつけるのも基本になるが、最近はセサミンなど抗酸化物質が入った食品が薬局やスーパーで簡単に手に入るだけに、体をさびさせないためにも上手な利用法を考えてみたいものです。

古くからの健康食品
アフリカのサバンナが原産地といわれるゴマは古代文明の多くの遺跡から発見されてる。クレオパトラは美容と健康のためゴマのクッキーを食べていたとか、いないとか。古代ギリシャでは医学の父ヒポクラテスがゴマを優れた活力を生み出す高栄養食品であることを述べている。

縄文末期の遺跡から日本への伝達
縄文時代末期の紀元前1200年ごろの遺跡からゴマの種子が出ている。奈良時代から栽培が始まっているが、もっぱら灯油の原料として利用され食用になったのは平安時代からだそうだ。

牛乳の11倍カルシウム栄養の宝庫
ゴマにはたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維など人の体内が必要とするほとんどの栄養素が含まれている。成分の半分を占める脂質はリノール酸とオイレン酸が多く、これらは不飽和脂肪酸と呼ばれる健康物質。またゴマは牛乳の11倍ものカルシウムを豊富に含んでいる。

炒る、摺るがベスト賢い食べ方
ゴマの生の種子は消化できない物質で包まれているので炒ったり摺ったりしてから食べるのがベスト。生のゴマを過熱すると抗酸化物質でもあるゴマリグナンの中の一つの成分セサモリンの一部が分解され、より抗酸化作用の強いセサモールに変化するそうだ。
                                          2000/11/12