2000/8/23
原告側準備書面(第二回口頭弁論から)


平成一二年(ワ)第一一五七号
損害賠償請求事件

横浜地方裁判所
第五民事部合議係御中

第一 第一期譲渡価格の決定及び第二期譲渡価格に関連して
一 被告の平成一二年八月二三日付準備書面によれば、被告は、第一期譲渡価格については「施行規則第六条一項に基づき、若葉台団地周辺の民間分譲住宅を中心とした市場の動向を考慮しつつ、…」決定し、第二期譲渡価格については、施行規則第六条二項の特別事情を考慮して決定した旨主張している。
従って、このような決定方法からすると被告の譲渡価格の決定方法は、施行規則第六条一項を基本とし(尤も被告の主張によれば、様々な要素を考慮して決定することになるが、施行規則第六条一項を基本としていることは被告も認めるところである。)、特別の事情のある場合には施行規則第六条二項を適用して新たな価格の決定をするというものと考えられ、第二期譲渡価格の決定については、不動産鑑定書の鑑定評価額に基づき決定したとして、その裏付けとして、乙一〇ないし一三号証を提出している。
二 しかしながら、第一期譲渡価格における積算方法については、何ら旦一体的な価格決定に関しての事実が示されていない。すなわち、同項によれば「建設費、建設に要した利息又は利息に相一当する金額…」を合計した金額を基準として価格を決定することとしている。従って同規定からすれば建設費、建設に要した利息又は利息に相当する金額等を旦一体的に算定し、その合計額を基準として第一期譲渡価格が決定された筈である。しかるに被告の主張においては、前記積算過程は何ら示されておらず、従って第一期譲渡価格がどのようにして算定されたか、全く不明である。
それ故、これからすると被告の主張する「特別事情」の有無を判断することは困難と言わざるを得ない。
けだし、「特別事情」の有無を判断するにおいては、経済事情の変動も考慮の比較対象ではあるが、同時に第一期譲渡価格を決めるに至った旦一体的な積算方法を明らかにし、その内容との比較のなかで検討すべきものであることも又重要な要素といえるからである。
三 「特別事情」の存在は最終的には、被告の立証責任と考えるべきものであるが、早期に客観的資料と数値に基づいて争点を明確にすべきであるところ、その資料は全て被告が保有している。そこで、原告らは被告に対し、別紙釈明事項につき、釈明を求めると共に、速やかに第一期譲渡価格における算定根拠となった資料全てを証拠として提出するよう要望する。

第二 原告の主張する損害の根拠
一 被告が第一期譲渡価格を決定するに当たっては、施行規則六条一項、同条二項に従わなければならない(この点、被告の平成一二年八月二三日付準備書面からしても争いない)。
従って、第一期譲渡から第二期譲渡の間に新たに同条一一項を定める「特別事情」が在しないとすれば、第一期譲渡価格は、第二期譲渡価格と同一であるはずである。
二 他方、第一期譲渡価格は適正であるが、第二期譲渡については、販売価格を決定するに際しての「特別事情」が存在するというのであれば、その「特別事情」とは、原告らの第一期譲渡本契約後第二期譲渡までに生じた新たな事情であって、第一期譲渡の本契約当時、一般人にとっても、被告にとっても予見不能である新たな事実でなければならない。
けだし、それらの事情を第一期譲渡歩契約当時予見できたのであれば、それは、第一期譲渡の本契約に際しても考慮すべき「特別事情」にほかならないからである。
三 しかしながら、第一期譲渡においては、このような「特別事情」は何ら存在しない。従って、第一期譲渡価格は、第二期譲渡価格と同一の値下げ率を乗じたものでなければ、その根拠を失うこととなる。
なお、値下率は住戸により約一パーセントの差があるから、原告らには、少なくとも第一期譲渡価格からこれに対する最低値下率を乗じた金額を控除した金額の損害があったということになる。
それ故、原告らの損害額は、第一期譲渡価格から、これに第二期譲渡の値下げ率を乗じた金額を控除した金額となる。そこで、最低値下率の四三・三パーセントを用いて右損害額を算定すると、原告らの損害は、別表のとおりとなる。

求釈明事項
一 被告が原告らに対して販売した第一期譲渡に関する予定原価計算について。
(1)予定原価計算を担当した部署について
ア その名称
イ 所在
ウ 予定原価計算を行った当時の当該部署の責任者の氏名
(2)予定原価計算の決裁について、決裁した役職者の役職名及び氏名
(3)予定原価計纂に関する「原価台帳」について
ア 原価台帳に該当する文書の標題が「原価台帳」以外のものである場合、その標題は何か。
イ 記載された項目及び内容
ウ 作成者の氏名
エ 作成者の属する部署名(作成当時)
オ 保管場所
(4)「予定原価計算表」について
ア 予定原価計算表に該当する文書の標題が「予定原価計算表」以外のものである場合、その標題
イ そこに記載された項目及び内容
ウ 作成者の氏名
エ 作成者の属する部署名(作成当時)
オ 保管場所
(5)予定原価計算を行うに際してその資料として作成された文書(原価台帳・予定原価計算表を除く)について
ア その名称ないし標題
イ 記載された項目及び内容
ウ 作成者の氏名
エ 作成者の属する部署名(作成当時)
オ 保管場所
二 被告が原告らに対して販売した第一期譲渡価格について。
(1)予定原価計算による原価が計算された後、第一期譲渡価格はどのようにして決定されるのか。
(2)予定原価計算をする部署とは別に、第一期譲渡価格を計算する部署があるか。
(3)第一期譲渡価格を計算する部署について
ア その名称
イ 所在
ウ その計算を行った当時の当該部署の責任者の氏名
(4)第一期譲渡価格について、決裁した役職者の役職名及ぴ氏名
(5)第一期譲渡価格の計算を行うに際して作成された文書について
ア その標題
イ 記載された項目及び内容
ウ 作成者の氏名
エ 作成者の属する部署名(作成当時)
オ 保管場所
三 被告が原告らに対して販売した各分譲住宅に関する実際原価計算について。
(1)実際原価計算を担当した部署について
ア その名称
イ 所在
ウ 実際原価計算を行った当時の当該部署の責任者の氏名
(2)実際原価計算の決裁について、決裁した役職者の役職名及ぴ氏名
(3)実際原価計算に関する「原価台帳」について
ア 原価台帳に該当する文書の標題が、「原価台帳」以外のものである場合、その標題
イ 記載された項目及び内容
ウ 作成者の氏名
エ 作成者の属する部署名(作成当時)
オ 保管場所
(4)「実際原価計算表」について
ア 実際原価計算表に該当する文書の標題が実際原価計算表以外のものである場合、その標題
イ そこに記載された項目及び内容
ウ 作成者の氏名
エ 作成者の属する部署名(作成当時)
オ 保管場所
(5)実際原価計算を行うに際してその資料として作成された文書(原価台帳・実際原価計算表を除く)について
ア その名称ないし項目
イ 記載された項目及び内容
ウ 作成者の氏名
エ 作成者の属する部署名(作成当時)
オ 保管場所
四 予定原価計算による原価と第一期譲渡価格が異なる場合について
(1)原告らが所有する第一期譲渡価格について、予定原価計算による原価との差額の有無、及び、差額がある場合には、その金額(被告における予定原価計算の区分ないし単位ごとの比較で構わない)。
(2)右(1)において差額が存在する場合、その差額については被告の会計上、どのような処理がなされるのか。
(3)右(1)において差額が存在する場合、その差額が、引当金ないし積立金として計上されることがあるか。あるとして、その引当金ないし積立金の正式な勘定科目は何か。
(4)右(3)の勘定の、繰入または取崩の要件、手続を定めた根拠法令はあるか。あるとして、その名称ならびに要件及び手続の内容。
(5)右(3)の勘定の繰入または取崩の際に作成される文書の名称。
(6)右(5)の文書の作成者の役職名及びその作成者の属する部署名。
(7)右(3)の勘定科目が設けられたのはいつからか。
(8)右(3)の勘定科目について、それが設けられた事業年度以降、毎事業年度ごとの金額、繰入額及び取崩額(内訳がある場合にはその内訳も)。


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