2001/7/08
被告側準備書面(第8回口頭弁論から)

平成12年(ワ)第1157号 損害賠償請求事件

                                            平成13年7月4日
                   準 備 書 面(7)

横 浜 地 方 裁 判 所
第 五 民 事 部 合 議 係  御 中

1 被告の販売担当者の発言内容について
(1)原告らは、平成12年11月1日の第4回口頭弁論において、裁判長より、
@同日付原告ら準傭書面に記載された被告の販売担当者の発言は訴状記載の債務不履行の事情にすきないのか、あるいは、個々の原告と被告との間の債務不履行という新しい主張をするのかを明らかにすること、A仮に後者であれば、個々の原告名及ぴ日時を特定すること、との指示を受けた。ところが、原告らは、この指示に明確な回答をすることなく、同年12月27日付準備書面に「購入の際に被告より受けたセールストーク」と題する一覧表を添付し、この一覧表に掲げられた事実に対する認否を被告に求めた。

(2)原告らの主張が前記@のいずれの主張であるかは判然としない。その点は措くとしても、上記一覧表記載の事実は、必ずしも日時場所等が特定されているわけではない。また、原告らに対する分譲住宅の販売後すでに相応の期間が経過しているほか、販売担当者の発言内容の記録もない。このため、正確な認否は難しい。そこで、被告は、被告の販売担当者の発言について子細は承知しない、とありのままに回答した(平成13年5月16日付準備書面(6)3頁8行目、7頁4行目)。これに対し、原告らは「当事者である以上、『不知』はあり得ない。」といわれ無き非難をするが、不知と答弁したのは以上の理由による。

(3)仮に、被告の販売担当者が左様な発言をしたとしても、当該販売物件に関し値下げは難しい若しくは値下げをする予定はない旨を述ぺたに過ぎず、それは当該担当者のその時点での個人的主観的認識を表示したに過ぎない。また、販売担当者は、将来にわたる被告の経営方針を述べる立場こはないし、将来にわたり値下げをしない旨の約束をする立場にもない。さらに、被告は宅建業法上の重要事項説明義務を負うものではないが、販売担当者の上記発言内容は、宅建業法上の重要事項に属する事項にかかわるものではないし、よしんぱその種の事柄に発言が及んだからといって、そのことをもってそれが契約内容の一部を構成することになるというものでもない。


2原告らに対する譲渡価格が適正であることについて
(1)原告らは、分譲住宅譲渡契約における譲渡価格を土地価格と建物価格とに分け、原告らが購入した時点では、右譲渡価格と市場価格の間には著しい格差が生じていたという(原告ら2001年3月28日付準備書面等)。しかし、このようにマンションの価格を土地価格と建物価格とに分けることは、原告独自の考え方であることは、再三述ぺてきたとおりである。
マンションの売買は、土地と建物とを個別に売買することを目的としたものではなく、敷地権付建物という1つのユニットを売買することを目的としている以上、譲渡価格を土地価格と建物価格とに分けることは全く意味がない。実際にも、多くのマンション販売業者が販売価格設定の資料としている「不動産経済調査月報(株式会社不動産経済研究所発行)」も、マンションの価格を土地と建物に分けることはしておらず、あくまで、上記1ユニツトの価格の動向を報告している。

(2)標告らが購入した若葉台団地の17期の平均価格は、5663万3508円(1平方メートルあたり71万1476円、平均専有面積79.60平方メートル)、同18期1次、2次の平均価格は、5661万1036円(1平方メートルあたり71万1551円、平均専有面積79.56平方メートル)である。
一方、前記の不動産経済調査月報1996年1月度版(乙27)により、原告らが問題としている平成7年の価格を見ると、横浜市内のマンションの平均価格は、4468万円(1平方メートルあたり65万4000円)である。これを、若葉台団地の上記平均専有面積に換算すると、17期に対応す
る価格は5205万8400円、18期1次、2次に対応する価格は5203万2240円となる。
このように当時の横浜市内のマンションの平均価格と若葉台団地の平均価格との差は、17期においては457万5108円、18期1次、2次においては457万8796円にすぎない。また、当時の横浜市内のマンションと若葉台団地の1平方メートルあたりの平均価格との差は、17期においては5万7476円、18期1次、2次においては5万7551円である。これを、横浜市内のマンションの1平方メートルあたりの平均価格に対する書恰でみると、いずれも8.7%にすぎない。このように、原告らが購入した物牛と横浜市内のマンションとに上記の価格差があったとしても、それは、特に異とするに足りない。
以上のとおり、若葉台団地17期、18期1次、2次の譲渡価格と市場価格との間に著しい価格差は存在せず、原告らに対する譲渡価格は適正なものであった。

※この後に「不動産経済調査月報」1996年1月度版(株式会社不動産経済研究所)が添付


 

被告側準備書面(第8回口頭弁論から)

平成12年(ワ)第1157号 損害賠償請求事件

                                             平成13年7月4日
                    準 備 書 面(8)

横 浜 地 方 裁 判 所
第 五 民 事 部 合 議 係  御 中


原告らの平成113年(2001年)3月28日付準備書面7の第2、1(1)〜(6)の主張に対する被告の答弁は次のとおりである。被告が乎成4年の第16期積立分譲住宅の販売を行なったことは認め、その余は不知。なお、本件マンション価格が本件販売当時他の周辺マンションと比較して著しく高額であるという事実はなく、また、マンション価格を土地と建物とに分けるという原告らの主張の前提そのものが誤っている。

以上


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