2000/9/27
被告側準備書面(第3回口頭弁論から)

平成一二年(ワ)第一一五七号 損害賠償請求事件

平成一二年九月二七日

横浜地方裁判所 第五民事部合議係 御中

準 備 書 面 (三)

第一 施行規則第六条第一項と同条第二項との関係

一 施行規則第六条の規定の解釈は、平成一二年八月二三日付被告準備書面一〇頁から一三頁にかけて記載したとおりであるが、改めて説明する。

二 被告は、施行規則第六条第一項に基づき、同条頁が規定する諸費目を合計した金額を基準とし、様々な要素を考慮して、その上方であっても下方であっても然るべき譲渡価格を決定することができる。

他方で、同条第二項によれば、右のようにして決定した譲渡価格が「特別の事情」により不相当となった場合には、被告は、譲渡価格を変更することができるが、一度公にした価格を変更するにあたっては、被告の業務運営に対する県等の監督の一環として、都道府県知事等の承認を得なければならない。

すなわち、被告の分譲住宅の新規販売には同条第一項が、価格を見直して再販売をする場合には同条第二項が適用されるのである。

よって、被告は、若葉台団地一七期、一八期の新規販売時には、同条第一項、第一一条に基づき、若秦台団地周辺の民間分譲住宅を中心とした市場の動向を考慮しつつ譲渡価格を決定したが、本件値下げ販売を行うにあたっては、神奈川県知事に対し、同第六条第二項、第一一条に基づく価格変更承認申請をなし、その承認を得た(乙一四ないし一七)。

三 平成一二年八月八日付原告準備書面二頁から三頁にかけての「被告の譲渡価格の決定方法は、施行規則第六条一項を基本とし、特別の事情のある場合には、施行規則第六条二項を適用して新たな価格の決定をするというものと考えられ」る、との被告の主張の要約が不正確である、と言ったのは、かような意味である。

第二 本件における施行規則第六条第二項にいうところの「特別の事惰」について

一 被告が、本件値下げ販売に踏み切らざるを得なかった「特別の事情」は、いわゆるバブル経済の崩壊並びにバブル経済崩壊後に発生した需給関係の緩みである。

被告が若葉台団地一七期、一八期一次・二次の販売を開始した後も、不動産の需要と供給のバランスが崩れ、神奈川県内のマンション市場で販売価格が下落していった。そのため、被告は、被告が当初に設定した若葉台団地一七期、一八期一次・二次の譲渡価格を維持していては住宅の在庫を解消することができないと判断し、本件値下げ販売に踏み切ったのである(平成一二年八月二三日付被告準備書面二〇頁、二四頁)。

二 バブル経済の崩壊並びにバブル経済崩壊後に発生した需給関係の綬み、すなわち、「特別の事情」の存在は、すでに公知の事実であり、被告が、証拠によってこれを立証する必要はない。

第三 施行規則の性格

施行規則第六条第一頁、第二項の解釈は前述のとおりであるが、そもそも、施行規則は、行攻命令であって、原告らと被告との間の権利義務関係を規律する根拠とはならない。譲渡価格を決定するのは被告であり、また、「特別の事情」の有無を判断し、譲渡価格の変更申請を承認するか否かを決定するのは、神奈川県知事である。そして、これらの行為の行政命令への適合性の有無は、司法審査の対象となるものではない。

以上


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