ハマの大魔神と共に世界へ挑戦!
佐々木主浩投手を支えメジャーへ

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横浜ベイスターズから、世界を目指すトレーナーが米国に渡る。今季からシアトル・マリナーズでプレーする佐々木主浩投手(31歳)を、陰から支え続けた江川靖トレーナー(41歳)。数年前から、佐々木とメジャーへの夢を語り合うことがあったという江川さんだが、横浜を退団して同投手との専属トレーナー契約を決意。二人で同球団に入団することが決まった。


19年間ともに苦労した江川トレーナーとも契約
日本のプロ球団のトレーナーが、大リーグ球団に移籍するのは史上初。「主役は佐々木だが、渡米を決意したのは、自分の夢でもあったから」という江川さんの横浜での19年間や、佐々木投手に対する思い入れは相当なもの。渡米を前にスケジュールに追われ多忙な毎日だが、江川さんとの自主トレだけは欠かさない。
毎日、横須賀総合グラウンドに姿を現す。いつも佐々木投手よりもひと足先にグラウンド入りする江川さん。「
メジャーは162試合。常に投げられる状態で佐々木投手をベンチ入りさせるのが目標」と、今年にかける気持ちは佐々木投手と同じだ。


最初は佐々木投手のリハビリ担当から
二人の付き合いは十年を超える。佐々木が入団した1990年、シーズン中に右足の小指を骨折した佐々木のリハビリ担当に指名された。「(先輩トレーナーに)ちょっとやっといてくれ、という感じでたまたま佐々木を担当した」というが、当時抑えのエースだった斎藤明夫投手を担当した経験があった。
2年目に佐々木はストッパーへ転向、マッサージをしながら「明夫(斎藤)さんに頼まれて、佐々木にそれとなくストッパーの心得を話していた」と、先輩投手からは言いにくいことを、トレーナーの立場で伝えた。「頭ごなしに言わないから、相性が合ったのでしょう。伝書バトみたいなもんです」と振り返る。
94年に佐々木は右ひじを手術。「横浜での19年間で、一番大きな仕事」というリハビリを二人で乗り越え、佐々木は球界一のストッパーに成長した。
ゲーム開始直後から、ベンチ裏で佐々木の全身を入念にマッサージするのが日課となった。二人で過ごす時間は長く「佐々木のメジャーに対する夢も、数年前からそれとなく聞いていた」という。


米国でトレーナーの勉強するのが夢
江川さん自身にも、米国でトレーナーの勉強をしたいという夢があった。
日本球界では、マッサージや針灸治療がトレーナーの仕事の中心だが「
ひじや肩の手術を米国で行う選手が多いのは、日米のリハビリ方法の差」と、スポーツ医学や、トレーニング学の領域にまで踏み込んで勉強したい気持ちがあった。
当初は佐々木投手との専属契約だけだったがマリナーズとの契約も正式に決まった。「
佐々木さんがぼくの夢を察して契約条項に僕のことを入れてくれた。マリナーズの選手も診られて勉強になるから、ありがたい」と江川さんは話す。

江川靖(41歳)氏
東京生まれ。東海大相模高(神奈川)時代には野球部に所属し、原辰徳(現巨人ヘッドコーチ)と同期。3塁、2塁、捕手の控え選手として3年間を過ごしたが「縦じまのユニホームはほとんど着れなかった」。同校卒業後にトレーナーを目指す。東京衛生学園で3年間、針灸・マッサージを学び、81年、横浜大洋にトレーナーとして入団。昨年末に同球団を退団し、佐々木投手と専属契約を交わした。家族は妻と2男、1女。


誕生日に3つの誓い
江川トレーナーは誕生日に3つの誓いを立てた。

 1.佐々木と一緒にオールスターとワールドシリーズ出場
 2.米国のトレーナー免許(ATC)の取得
 3.日本の若いトレーナーが、夢を持って後に続けるような道をつくる

アメリカンドリームを目指し、夢舞台をシアトルに移し挑戦が始まった。


佐々木主浩投手の話
江川さんは、自分のすべてを分かってくれている。向上心があるから、米国でもトレーニングやリハビリ方法を一緒に勉強できると思う。僕が1年でダメになる可能性もあるし、江川さんも不安だろうから、マリナーズと契約できるように(代理人に)頑張ってもらったんです。球団として、江川さんの(米国での)トレーナー免許取得に協力してくれるというので、移籍は双方にとってプラスになると思う。


家族は日本から応援
江川さんのマリナーズ入団が決まり、妻の貴代美さんは「最初は反対したけど、家族で話し合って決めました。子供たちも応援しています」と夫の成功を祈っている。長男の浩史君(15)が高校受験、次男の誉人君(14)も来年に受験という大変な時期だったこともあり、何度も家族会議が開かれた。
最終的には、単身赴任で渡米することになり「
年上の妻がしっかりしているから、自分が夢を追いかけられるんです。感謝しています」と江川さん。貴代美さんは「佐々木さんを陰で支えて、活躍させてあげてほしい」と話しているそうです。


1月29日の佐々木投手情報
シアトル・マリナーズ入りした佐々木投手はマイペース調整の特権を与えられた。同投手の自主トレを視察したブライアン・プライル投手コーチが「今ま通りに自分のペースで調整してほしい」と伝えた。
さらに練習後に会談し「
アスリートとしてに体のつくりは素晴らしいの一言。見てるだけで日本で成功したのが分かるね。全ては任せる」と目を細めた。「日本でどのようして成功したかを見たい」とまで口にして信頼を寄せた。「とにかくルーキーの新鮮な気持ちで開幕を迎えたい」シアトルで3勤1休での自主トレ後、2月2日にはキャンプ地アリゾナ州ピオリアに移動。10日前後には早くも捕手相手に投球練習を開始する予定だ。さあ、いよいよ


1月30日の江川トレーナー情報
佐々木投手は2月24日にメジャー打者相手のフリー打撃に初登板することになりそうです。「肩、ヒジは今すぐにでも投げられる状態。フリー打撃?だれを相手に投げるか楽しみですね」と順調な調整を強調。練習終了後にキャンプ中の調整日程の打診を受けたが「日本にいる時から肩ができるのは早いのでいつでもOKです」と即答したそうです。
この日、日本からシアトル入りした佐々木投手の専属トレーナーでもある江川氏がさっそく練習に合流した。江川トレーナーは「体のはり具合を見て、ここまでいかに練習しているかが分かり驚きました。この時期にこれだけ練習すれば、キャンプではベストの状態になる」と太鼓判を押した。
マ軍球団内のトレーナー施設を視察していたところ、自主トレ中のエドガー・マルチネスが首痛を起こし、マッサージで応急処置を施した。思わぬ仕事に「マルチネスに頼まれたんで、マッサージをしたんですけど、胸板が厚くてビックリ。さすがメジャーのトップは違うな、という印象を受けた。佐々木投手と一緒にメジャーの技術を学んでいきたい」と興奮していた。

メジャー挑戦が始まりました。
ぜひお二人の成功を期待したい!   2000/2/01


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