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スポーツコラム 【特別編.1戦ごとに成長、甲子園で8強進出の横浜高校】

第82回全国高校野球選手権大会に神奈川代表として出場した横浜高校の戦いが終わった。2年ぶり9度目の夏の舞台。ナインは刻まれた伝統に恥じないプレーを見せ、ベスト8まで進出。207校の代表として甲子園を湧かせた熱戦を少しだけ振り返りました。

神奈川大会前には主力の三年生に故障が相次いだ。
 エース小沢投手は右肩痛に悩む。
 土屋捕手は右足くるぶしを骨折。
 中軸を打った遊撃手浜口選手は左手の指の間をスパイクされ二針縫うけが。
あげればきりがなかったそうだ。けがの影響もありチームは二先生主体となった。
だが夏。必死で食らいつく三年の姿があった。それが小沢投手であり、土屋捕手であり、浜口遊撃手だった。1人また1人とグランドに戻ってきた。
「二年と三年がしのぎを削る中でチームが出来上がっていった。大きな目標を得るために痛みは仕方なかったのだろう」。そう渡辺監督は振り返る。

 グレーのユニホームをまとった「雑草軍団」は、はい上がった。
 偉大な先輩達と同じ舞台に立ち、大観衆を湧かせた、そして堂々と戦った。

成長したバッテリー
「一戦一戦成長している。」大会期間中、渡辺元智監督は口癖のように選手を評価した。8強進出の原動力・エース小沢投手がそうだった。右腕は大舞台で力を伸ばした。
初戦の佐賀北(佐賀)戦。8回3安打1失点で甲子園初勝利。続く鳥羽(京都)戦では我慢の投球、東海大浦安(千葉)には巧みな投球術を見せた。
土屋捕手のリードも光った。初戦は外角を中心に投球を組み立てた。3回戦、準々決勝で強打者が増えるにつれ、内角に見せ球のストレートを配し、外のスライダーで勝負するなど投球に幅を持たせた。小沢投手の好投の陰には土屋捕手の頭脳があったのです。

徹底された打撃
「スター選手がいない。」からこそ全員に徹底された打撃。明暗を分けた試合が合った。鳥羽戦はみごとだった。相手エース谷口投手の低めのスライダーを捨て、直球を打つというベンチの指示が、終盤に生きてサヨナラ勝ちをつかみとった。
東海大相模のエース浜名投手のシュート攻略にも挑んだ。右打者は投球動作に入ると両足を引き、内角を空けてシュートを待った。ヘッドを遅らせ内角をたたくという技術を要求される練習も繰り返した。だが、相手捕手が横浜の戦術を逆手に取った。外角の変化球をうまく使われた結果、3安打。完ぺきに封じられた。勝つための策は講じたがそれが結果に結びつかなかった。あらためて短期決戦の難しさを感じました。

我慢した守備
「心配していた送球ミスが少なくなっていた」渡辺監督は甲子園入りしてから自信を持つようになった。守備は不安を抱えていた。神奈川大会での試合前のシートノックで、スローイングの安定感は低かった。それが甲子園では3試合で1失策。実戦的な守備練習のなかで鍛えられて行った守り。基本動作を徹底的に繰り返した自信が「堅守」につながったのでしょう。松浦一塁手、杉浦二塁手、柳野三塁手の二年生をまとめた三年の遊撃手浜口選手の功績も大きい。周囲にも声をかけるなど内野のリーダーシップを取った。
東海大浦安戦では少しの守備の綻びが敗戦につながったといえる。柳野選手から一塁への送球。松浦選手のタッチプレー、イレギュラーバウンドへの反応。五回の2失点は「ミスしたら負ける」甲子園の怖さを見せつけられました。ただ接戦の中で我慢し続け大崩れしなかったプレーは十分評価されます。けがから戻り、後輩を引っ張った松岡主将をはじめとする三年の気迫。中堅守大河原選手を中心とした二年の非凡なセンス。二人三脚でチームを作り上げた渡辺監督、小倉清一郎部長の指導力。今年のチームほど、一つ一つ小さな力を結集させ甲子園という舞台で持てる力のすべてを出しきった夏はない。横浜野球がまた大きくなった。

東海大浦安戦2−1で惨敗・・・。
「ここまでよくこれた。一戦一戦成長してくれた」と渡辺監督は選手をねぎらった。
「一生懸命やれば勝てる」。そのことを30年以上の監督歴をほこる指揮官が、雑草のごとき選手達に教えられた。「出場できないといわれた甲子園でベスト8。満足感があるのでは?」松岡主将が質問された。「どうしようもないって言われていました。でも負けて、満足感なんかない。」と松岡主将は話す。踏まれても負けない強さ。密度の濃い練習。どん底からはい上がる強さ。
その全てがグレーのユニホームに染み付いて引き継がれていくだろう。 2000/8/22




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